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 ぶらり歩き   
 32. 伊豆半島を歩く (17)   平成24年8月26日
 更に井田の集落に向かって下っていき、ほぼ海岸に出るところに明神池(写真60)がある。明神池はかつて入江であったが、次第に閉ざされて淡水に変わった海跡湖であり、縄文時代前期(約5,000年前)に形成されたと考えられている。戸田の御浜岬、これから訪ねる大瀬岬はこれから長い年月を掛けて明神池のように閉ざされていく過程にあるという。現在、池の水は井田地区の水田の灌漑に使われている。

 真上から照りつける陽射しを除けようもなく、元の県道17号に戻る。そんな県道沿いに、井田不動明王(写真61)が祀られている。この石像は第四代将軍徳川家綱の宝塔と同じ石から造られたといわれ、戸田と井田が江戸時代に石切場であったことを示すモニュメントと言えそうである。

 駿河湾の海と空は真っ青で雲がその境界線を成し、今、歩いて来た井田、明神池(写真62)が眼下にくっきりと眺望できる。ここまでの道はほぼ登りであったため、暑さと強い陽射しも相まってかなり疲れを感じる。井田トンネルの手前で休憩をとる。道路面に腰を下ろすと、トンネルが扇風機の役割をなし、トンネルから涼やかな風が送られてきて火照った体に心地よい。

 トンネルには歩道が設けられているが、往来する車の走行する音がトンネル内で反響して不気味な恐怖感を覚える。トンネルを抜けると、道は下りとなり、歩きも軽快になる。途中で眼下に戸田の御浜岬と同じ地形をした大瀬岬(写真63)が一望できる。ここまで、富士山の山容を見たいと期待して歩いてきたが、朝の修善寺に向かう電車の車窓から見えただけで、厚い雲に覆われてしきい姿を現すことがなく、残念である。
 
    
 

写真60 明神池

写真61 井田不動明王

写真62 井田と明神池(遠望)

写真63 大瀬岬(遠望)

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